なついろ

ファイターズのこと、GLAYのこと 応援してると色々思うよね!!ってことで、吐き出し場所!!

#3 向日葵は青空を想う

意識が浮上するのと同時に差し込んだ光に目を眇める。

 


「真昼!」

 


声がした方を、ゆっくりと見る。

 


-----あぁ。

 


また、やってしまったみたいだ。

 


「真昼、私が、分かる?」

 


震えてる。

 


声も、僕の手を握っている優しい手も。

 


(ごめんね)

 


そして。

 


(ありがとう)

 


「ゆうか…」

 


彼女が握ってくれている手に、力を込める。

 


「まひ、る…!」

 


安心した様に、嬉しそうに。

握り返された手。

 


温かい。

 

 

 

 

 

 

 


いつからか、あだ名で呼ぶことを止めた。

彼女にだけ。夕華に、だけ。

初めてギャル、ではなく、夕華、と呼びかけた時の彼女の表情は、名前の通りに華が咲いたような、綺麗な、可愛らしい笑顔だった。

 


そして。

 


同じ頃、彼女も。夕華も僕をあだ名ではなく真昼、と名前で呼ぶようになった。

あの時の嬉しさは、何ものにも替えられない。

 

 

 

 


「-----邪魔するぞ」

 


会話らしい会話もなく、まるで世界が僕と夕華だけになった様に見つめあっていたら、声がした。

聞きなれた声だ。

 


声のした方を2人で見る。

そこには、腕を組み、少し呆れた表情を浮かべたスネークがいた。

 


「っ、あ、あのね、スネーク!真昼が起きたの…!」

「見れば分かる。シェフが起きたら、すぐ俺様を呼べって言ったろうが、バカ」

 


耳まで真っ赤になった夕華が、スネークに言う。

夕華の目が、僕じゃなくスネークを見るのを寂しいな、と思いながら、ゆっくりと、言った。

 


「`ただいま´、スネーク」

「……あぁ」

「夕華は、悪くないから怒らないであげてね。僕が、手を握っていたから動けなかったんだよ」

「っ!!」

 


バッと、両手が離れていく。

もう少し、彼女の、夕華のぬくもりを感じて居たかった。

彼女の熱は、昔から、とてもとても心地いいから。

 


「-----診察するから、ギャルは外にいてやれ」

「嫌!」

 


でていけ、とは言わずいてやれ、と無意識の優しさを滲ませた主治医---スネークの言葉を、夕華の強い叫びが否定する。

診察の同席や病状説明は、基本的に縁者のみだ。どんなに近しい友人でも、そこには関われない。

 


「……あのなぁ」

「解ってる、ホントはダメなんだって。今日だけ。お願い、`先生´。今回は、居させて」

 


震える声で、必死に言い募る夕華に、ふう、とため息をついたスネークは、今回だけだぞ、と小さく言った。

ありがとう、と嬉しそうに笑った夕華は、スネークが診察しやすいように、と少し離れた場所にいく。

 


(……そっか)

 


どうやら、今回は本当に危うかった様だ。

子どもの頃から身体が弱くて入退院を繰り返していたから、解ってしまった。

 


「ん。急搬された時よりは遥かに良くなってるな。バイタル、安定してる。---------良かった…」

 

 

 

言葉に滲む優しさや安堵感が、今までの主治医とは遥かに違っていて。

スネークが、主治医として、だけではなく、友人として案じてくれていたのが分かった。

 


「危なかったの?」

 


わざと笑いながら言う。

その言葉に、眉をひそめたスネークが、低い声で言った。

 


「かなりな。俺様じゃなきゃ、危なかった。けどな、シェフ」

 


ギャルの前では、冗談でもそんなことは言うな。

 


スネークの言葉に、びくり、と肩を震わせた夕華の目には涙が浮かんでいる。

 


「ギャル。点滴が終わったら、俺様を呼べ」

 


震える夕華の肩に、ぽん、と手を置いたスネークが言ったのに、こくこくと首肯した夕華は、笑った。

 


「良かったよ、真昼。こわ、かった、んだからね?」

「うん。ごめんね、夕華」

 


ゆっくりと手を伸ばす。

握り返してくれた夕華に、笑いかけた。

 


「あの、ね、真昼。お願いがあるの」

「なぁに、夕華」

 

 

 

「私を、お嫁さんに、して?」

 

 

 

 


思わず、言葉を失った僕は、呆然と夕華を見る。

 


「ね、お願い、真昼---っ」

 


言い募る夕華に、待って、と小さな声で言うのが精一杯だった。

 


「どうして、僕なんかに…?」

 


声が弱くなってしまった。情けない。けれど、しょうがないじゃないか。

どうして太陽みたいに眩しい、優しい夕華が、僕なんかに【囚われて】くれると言うのか。

 


「っ、ごめんね、真昼。-----忘れ、て?」

 


拒絶された、と思わせてしまったのだろうか。

堪えきれなくなった涙が夕華の頬を伝っている。

それでも笑おうとしている夕華に、綺麗だ、と思う僕は、おかしいだろうか。

 


「違うよ、夕華。嫌だったんじゃないんだ」

 


離したくなくて、離れて欲しくなくて、握り合う手に力を込める。

 


「僕は、こんな身体なんだよ?いつ、夕華を残して逝くか分からない。子どもだって、きっと、無理な身体だよ?」

 


それでも。望んでくれる?

 


「----バカ!」

 


夕華が、叫ぶ。

 


「逝く、なんて言うんじゃないわよ、バカ真昼!アンタには、アンタにはねぇ!」

 

 

 

 

 

 

「一緒に、生きて欲しいの!」

 

 

 

 


あぁ。

 


その言葉。

 


なんて優しくて。

 


なんて、なんて。

 


(強いんだろう)

 

 

 

「………ねぇ、夕華」

「っ、な、なによ…?!」

「----結婚、しようか」

「っ、うん…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鐘の音が響く。

陽の光が注ぐ教会に、夕華の笑顔が咲く。

純白の生地に、金糸で刺繍された花弁が散りばめられたウエディングドレス。

満面の笑みでブーケトスをする夕華を見て、幸せを噛み締める。

子どもの頃と夕華に出会った時の、二度。諦めた夢のひとつだ。

まさか、叶うなんて。

 


「----次は、ハカセよ!」

 


スネークの隣にいたハカセは、恥ずかしそうに、けれど、嬉しそうにはにかんでいる。

きっと、ハカセのウエディングドレスも綺麗だろう。

けれど、その魔法は、彼じゃなきゃかけられない。

 


(そうでしょう?----`先生´…?)

 

 

 

 

 

 

END

 

あとがき。

夕華ちゃん、頑張りました。

 


真昼が搬送されたと一夜から連絡を貰って駆けつけてから数日。

 


真昼が、居なくなってしまうかもしれない。

1番に、知らされないかもしれない。

 


それに気づいて、それが嫌で。

その恐怖に、1人で耐えた夕華ちゃん。

ずっと、ずっと蓋をしていた気持ちを、夢をぶつける夕華ちゃん。

 


はー夕華ちゃん可愛い。

 


夕華が着ていたウエディングドレス。

 


金糸の花は、真昼の特注デザインです。

披露宴のパーティドレスは、水色(真昼の色)を着たい夕華と、オレンジ(夕華の色)を着せたい真昼でレッドやスネーク、ハカセを巻き込んで一悶着あった、とか。

あったら、いいなぁ(笑)

 


裏テーマは、【うっしーTPキャラを、幸せにしよう!】です(笑)